[外食レストラン新聞(日本食糧新聞社)] (2010/5/01)

昨年、「ガンブラー」という名前のコンピュータウィルスが大きな話題を呼んだ。良く知られる多くのコンピュータウイルスようにメールを仲介して感染するのではなく、多くの人々が訪れる大企業などのホームページを勝手に改ざんすることで感染を広げる仕組み。そのホームページを見た人々は勝手に別のサイトに誘導され、悪意あるプログラムをダウンロードさせられて、そこからまた感染が広がるといった、大規模で複雑な手段を取る新手のウィルスである。正式なホームページを見ているアクセス者には、他のサイトへ誘導されたことが表面上からは判らないようになっているため、知らないうちに自分のパソコンにウィルスを取り込んでしまい、新たな被害を広げる側に回ってしまうのだ。

JR東日本やホンダ、ローソン、ハウス食品などといった、著名な大企業のウェブサイトが次々と被害に遭い、マスメディアが大きく採り上げたことで、一般にも知られるほど有名になった。

今回は、こうしたコンピュータウィルスなどの被害からパソコンを護るための情報をいくつかお伝えしたい。

現在では、あなたのパソコンがこうしたコンピュータウィルスの被害に遭う原因のほとんどは、メール受信とホームページ閲覧という2つの場合に限られる。これまで、ホームページ閲覧によるウィルス被害の対策は、「怪しげなホームページを見てはいけない」というものだったが、ガンブラーの出現によりそうした対策は意味をなさなくなってしまった。

ウィルス対策の第一は、アンチウィルス(ウィルス退治)ソフトの導入だ。有料の製品はパソコンショップで多数売られているし、パソコンを買うとインストールされていたりするが、更新期限が切れるとまた新しく購入しなければならないのが少々面倒くさい。あくまで家庭で個人用のパソコンに使用する場合は、すでに有名になった「AVG」などのような無料でインターネットからダウンロードできる優秀なウィルス対策ソフトがある。ただし、無料版はサポートが受けられないし、多くのソフトには無料版と有料の製品版の両方があり、それぞれ微妙に機能が異なるので確認が必要だ。「ウィルス 無料」などで検索すると、いろいろな情報が得られるだろう。

世界中で毎日、数多く生み出されている新しいウィルスに対応するため、アンチウィルスソフトを使用する場合は、毎日のように「ウィルス定義ファイル」の更新が必要になる。ウィルス定義ファイルはインターネットから自動的にダウンロードされるので、ブロードバンドによる常時接続をしていることが望ましい。

メール受信とホームページ閲覧によるウィルスの侵入は、アンチウィルスソフトを正しく使っていれば、ほぼ避けることができるだろう。ソフトが正しく設定されていれば、多くのウィルスがパソコンにダウンロードされるか、動作を起こす直前にソフトが自動的に阻止してくれる。

ただし、コンピュータウィルスにはいくつかの種類があり、それによって対応すべき状況が異なる。こっそりパソコンの中に潜んで、知らないうちに情報を送信する「スパイウェア」といったウィルスもあるので、ある程度の知識がなければソフトの設定をすることが難しい場合もある。

それほど大げさに心配する必要はないが、筆者の知っている範囲でも、ウィルスに冒されたせいでパソコンの中の売上データを失ってしまったり、顧客データなどが流出してしまったケースもあるので、やはり注意は必要だろう。

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