多店舗化を図るチェーン店の業界では、携帯電話に向けてクーポン付きのメルマガを送付するという会員制のプロモーション活動を行うところが増えている。筆者も仕事柄、気になったメルマガには外食店や物販店を問わず自分で登録してみることにしているが、なかなか上手に販促効果を上げている企業は少ないように感じるのが残念だ。そこで今回は、私が経験したこうした携帯メルマガ販促の問題点などについて考えてみたい。

まず、メルマガの会員になってもらうためには、第一に「会員登録」というハードルを越えなければならない。ここにはふたつのポイントがある。ひとつは、「登録時に企業側が多くの個人情報を欲しがってしまうと、登録が面倒だったり情報管理が難しくなったりする」という問題だ。筆者が登録するあるチェーンでは、毎回クーポンが送られてくるのだが、そのクーポンページを表示するために、その都度パスワードの入力を求められる。いろいろなサイトに登録していると、パスワードなどはいちいち覚えていられない。登録してから1年近くになるが、実は、今までそのサイトでクーポンページにたどり着いたことは1回しかないのだ。先日よく見たら、「パスワードを忘れた方はこちら」というリンクがあるのを発見した。恐らくメールでパスワードを送ってくれるサービスなのだろう。次回はそれでチャレンジしてみたい。もうひとつの問題は、個人情報保護の意識が高まったせいで、以前のように顧客カードにアドレスを記入してもらうといった方法では、なかなか登録者数を増やせなくなっているという点だ。このため、最近では顧客が自分で登録する「空メール送信」方式か「2次元バーコード」を使った登録が一般的だが、この方法は登録にあたってかなり魅力的なプレミアム(報賞)を提供できないと登録者を獲得できないこと、本来狙うべき優良顧客だけに絞り込みにくいなどの難点がある。
多くのクーポン付きメルマガで見られる問題点のひとつは、「店舗への集客方法が値引き中心」という点だ。大多数の外食チェーンの場合、そもそも商品単価がさほど高くない。ファストフードやファミリーレストランで100円程度の値引きクーポンを利用するために、かなり煩わしい段取りを踏むお客は、本来会員として獲得したい客層なのかどうか疑問は残る。

某ビデオレンタルチェーンでは、メルマガによりレンタル料金半額のクーポンを発行することで大きな販促効果を上げているが、外食店の場合、集客が特定の時間に集中すると販促の効率は悪くなる。時間帯を限定したクーポンがより効果的だと思うが、まだあまり試みられていないようだ。

外食チェーンではないが、送られてくるクーポンのページが筆者の携帯電話では保存できないという経験も2社ほどあった。携帯電話は、電話会社や機種の違いによって微妙に使われるシステムが異なっているため、こうしたことが起きる可能性はあるのだが、問題はその対応だ。前記の2社とも、私の問い合わせに対して満足のいく回答はしてくれなかった。せっかくコストをかけて行っている販促活動が、こうしたことで逆効果になってしまう可能性があるのは、大変もったいないことだと思うのだがどうだろうか。

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