できるビジネスマンに欠かせないツールのひとつが手帳だ。ワタミの渡辺社長がプロデュースする「夢を実現する手帳」の例をみるように、一般にビジネスの世界では手帳を上手に使いこなす人はたいてい仕事もできる。
筆者は若いころから記憶力に自信がなかったため、さまざまな手帳を試してきた。特に現場の店長として過ごした20代には、顧客情報やスタッフのスケジュール、社内の連絡事項や取引先とのやり取り、数値データなど、管理すべき情報が非常に多く頭の中だけではとうてい把握できない。デスクワークではないだけに、常に持ち歩けて使いやすい手帳というのは必須アイテムであった。
だが、この原稿のテーマはIT活用だ。話題はもちろん紙の手帳のことではない。いわゆる情報携帯端末と呼ばれる、ひと昔前の言い方でいえば「電子手帳」についてだ。最近では、PDAという呼び名も浸透してきた。PDAとは「パーソナル・デジタル・アシスタント(アシスタンスとも言う)」の略。つまり、「個人用のデジタル助っ人」といった意味になる。
筆者は個人的な趣味もあって、昔からさまざまなデジタル機器を使っている。デジカメやICレコーダーは仕事上欠かせないのでもちろんだが、こうしたPDAの類は、古くは「ザウルス」から数えて10台以上は買い換えた。
PDA の利点はいろいろあるが、そのひとつは情報量が圧倒的に多いことだ。紙の手帳に1000人もの名簿を書き込んだら、それだけで手帳1冊分ぐらいの厚さになってしまい、いったい誰がどこに書いてあるのか探し出すのもひと苦労だろう。だがデジタル手帳ならば1000名ぐらいの名簿は検索機能で楽に管理できる。
また、紙の手帳では住所や電話番号などが変更された場合の処理が面倒だが、PDAは携帯電話の電話帳と同じで、こうした修正も簡単だ。
デジタル機器の大きな弱点は、紙と違って「情報の一覧性がない」ということだが、これはパソコンにコピーしたデータをプリンタで印刷することで、ある程度はカバーできる。クレードルと呼ばれるケータイの充電器のような架台にセットするだけで、自動的にパソコンの管理ソフトにデータが同期され、同時にパソコンで入力したデータもモバイル機器にコピーされるという仕組みになっているから、データのバックアップも万全だ。
いろいろと試した結果、筆者は現在こうしたPDAを主にスケジュール管理に利用している。PDAの最大の利点は、今から前後数年にわたるスケジュールのデータを常に持ち歩くことが可能になることだ。例えば、店で大事な顧客から来年のクリスマスの予約の話をされても、去年の宴会でどのコースを予約したのか知りたくなっても、PDAのスケジュールに記録してあれば何の問題もない。顧客データと関連して記録しておくことも可能である。
自分の店長時代にこのデジタル手帳を持っていれば、どんなスーパー店長になれたかと思うと残念だが、さて皆さんはどんな手帳を使っているだろうか。